2020年7月 点で見る、線で見る

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2020年という語感の良い新年を迎えた今年1月、国内ではいよいよ今夏の東京オリンピック開催に向けた機運が高まる中、60年に一度の大きな変革が訪れる庚子の年回りということもあり、全体的に上向き志向の雰囲気であった世界情勢の中発生した空前絶後のコロナウイルス騒動はいまだに収束する気配を見せずに猛威を振るい実態生活に打撃を与え続けており、このような「変革」が起こることを予想できた人はほとんどいかなったと思います。一度は収束したかに見えたいずれの国でも完全に抑え込めているわけではなく、第二波の気配がくすぶる中、我々は見えない敵を手探りでたたき続けながら生活の安定を取り戻す術を身に着けていかなければいかない状況にさらされています。

製造現場の設備保全課題に保全業務というものがあり、大きく「事後保全」「予防保全」「予知保全」に分けることができます。事後保全は対象機器が故障した場合、故障によるダメージを最小限に抑える活動を主に示します。発生した問題を封じ込めるためにあらゆる対症療法を尽くすケースが多いため、スケジュールの事前調整などができずに現場が疲弊し、対応を間違えると事態が悪化する悪循環を招きがちですが、一方で最悪の事態を抑え込むには適しているとも言えます。対して予防保全は、定期メンテナンスにより突発的な事故をある程度抑え込み、設備の稼働状況の安定化を目的としています。定期的な作業なので時間軸に基づく作業管理が行いやすいのが特徴ですが、スケジュールが適切かどうかの判断基準があいまいな場合、結果的に頻度が高くなり作業効率が悪くなることも考えられます。この点を克服する目的で三つ目の予防保全が存在しており、これは設備の状態を常時監視しながらエラーの兆候が発見された場合に措置を行うことで故障を防ぐという考え方です。対策が要求される適切なタイミングで深刻度に合わせた保全作業を行うことができるため、より適切であるといえます。

いずれも得意とする対策と解決すべき課題を有しており、製造現場ではこれらを適宜使い分け、各事象に対して迅速にいずれの保全方法が適切であるかを判断して実行することが求められます。ひとたび大きな故障が生じた場合、緊急性も高く、製造工程に出る影響が大きいので一点集中で対策しなければいけないためそちらに意識が取られ、一方で事象を時間軸や前後の工程の流れを含め、点と点を線でつないで考える予防保全や予知保全はどうしても後回しになってしまう傾向があり、この部分をどのように管理するかが重要になります。昨今のコロナウイルス騒動に対する各国の動きをこの保全作業に置き換えて考えてみると、一点しか対策しないケース、複数の点を同時に抑え込もうとするケース、点と点を線でつないで全体解を導き出そうとするケースが見て取れると思いますが、これは深刻度や緊急性に対するとらえ方が地域背景により異なるからでしょうか。

理想的な回答としては、チーフエンジニアリング的な立場から現場(=地域)毎の問題点を抽出して工程ごとの最適解を提供する人あるいは組織が対策を実行すべきなのでしょうが、現代を生きる人類がこれまで遭遇したことのない事例であることが今の事態を招いているように見受けられます。では回答が無いのかというとそうではなく、我々人類は歩きながら学習して更新する能力を持ち合わせているので、遠からず全体解を見つけ現状を乗り切ることができるでしょう。

そのためには日々心身ともに健康であり、楽しくアクティブに生きていくことが重要です。直径100-200nmのウイルス如きに負けることなく、明日への活力を蓄えながら今日も楽しく一日を過ごしていきましょう!


2020年7月 HS